女性心身医学
Online ISSN : 2189-7980
Print ISSN : 1345-2894
ISSN-L : 1345-2894
産後1年における自律神経活動と不安・抑うつの推移とその関連
和泉 美枝眞鍋 えみ子植松 紗代渡辺 綾子岩佐 弘一森谷 敏夫
著者情報
ジャーナル フリー

2015 年 20 巻 1 号 p. 92-99

詳細
抄録
【目的】産後1年の自律神経活動,不安・抑うつの推移とその関連を明らかにする.【方法】産後1年以内の女性36名,平均33.6(SD±4.3)歳を対象に,6カ月以内(1回目)と7〜12カ月(2回目)の2時期に(1)測定(心拍変動法による自律神経活動),(2)質問紙(不安・抑うつ;Hospital Anxiety and Depression Scale 14項目)による縦断調査を行った.【結果】(1)自律神経活動Total Power, Low-frequency, High-frequency, Low-frequency/High-frequency,交感神経活動指標(Sympathetic Nervous System Index),副交感神経活動指標(Parasympathetic Nervous System Index)は測定時期による差はなかった,(2)不安得点は1回目平均4.4(SD±3.7)点,2回目4.9(SD±4.0)点,抑うつ得点は1回目4.3(SD±3.0)点,2回目4.6(SD±3.8)点であり,測定時期による差はなかった,(3)産後7カ月〜12カ月に不安・抑うつ得点とも増加した者3名(8.3%),不安または抑うつ得点のどちらかが増加した者2名(5.5%)であり,不安や抑うつの増強者が約1割みられた,(4)産後6カ月以内では,Total Powerは不安得点や抑うつ得点に負の相関(r_δ=-.358,-.425,共にp<.05)が示された.【考察】周産期のメンタルヘルス・ケアには,産後の継続的なフォローが必要であること,さらに心拍変動による自律神経活動の測定は,不安や抑うつ傾向のある者を見いだす一助となる可能性が示された.
著者関連情報
© 2015 一般社団法人 日本女性心身医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top