抄録
中年期における、不定愁訴症状を呈する患者の背景要因を探るために、性格特性と生活ストレス尺度から検討を行った。40才から60歳までの女性で閉経27名、有経22名の計49名を対象とし、東大式エゴグラム(TEG)を行い、併せてホームスらの人生出来事項目を引用し、患者の主なる出来事項目を抽出した。TEGによる性格特性パターンでは、自己否定・他者肯定を示すN型がもっとも多く、次いでFC低位型、平坦型、U型等の順で認められた。出来事項目では、農作業従事の仕事の負担、夫婦の不和、自分の病気、家庭・家政の問題、出稼ぎ家庭の問題、そして経済問題等が主なる項目として抽出された。中年期における不定愁訴症状の背景要因としては内分泌変化による身体的な要因の他、心理的要因や環境を含めた社会的要因が大きなウェイトを占めている。患者の病態の把握にはこれらの多方面からのからのアプローチは、患者をより統括的に把握しかつ個別的な対応を行う上で極めて重要であると思われる。