抄録
若年女子での抑うつ傾向の表現形を探るためにY-G性格検査で表される非協調性得点の実測値と,年齢依存の規準値との差の双方が高いもの(group H3:n=6)と,双方が低いもの(group L3:n=5)を比較した.その結果,group H3は,L3に比して情緒不安定性,社会不適応性で有意(p<0.05)に高く,活動性,主導性で有意(p<0.05)に低かった.また末梢ドーパミン値が有意(p<0.05)に高かった.他方,group L3は情緒安定・社会適応傾向を示し,安定した性格構造を示したが,Y-G抑うつ尺度得点は末梢アドレナリン値と有意(p<0.05)な負の相関を示した.ここから末梢のドーパミンは非協調性の高い人での対人ストレスの指標になるが,それが必ずしも将来の大うつ病との関連を示すものでなく,むしろ逆に過剰に協調性の高いものでみられた抑うつと末梢アドレナリンとの負の関係から, group L3に属するもののほうでメランコリー親和性が高いものと考えた.