日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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ミカヅキモの性フェロモン(PR-IP Inducer)は、二種の生理活性を担う
*土金 勇樹福本 亮平藤伊 正関本 弘之
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p. 14

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抄録
接合藻ミカヅキモ(Closterium peracerosum-strigosum-littorale complex)には、+型、−型と呼ばれる性が存在し、両者による接合子形成には、二種の性フェロモン(PR-IP及びPR-IP Inducer)が関わることが明らかになっている。これらに加え、接合過程初期の有性的細胞分裂(SCD)を誘導する性フェロモン(SCD-inducing pheromone, SCD-IP)の存在も確認されている。これらのうち、-型細胞から放出され+型細胞の有性分裂を誘導するSCD-IP-minusは、+型細胞からのPR-IP産生を誘導する PR-IP Inducerの生理・生化学的特徴と類似していることから、両者が極めて近い関係にあることが示唆された。酵母を用いて組換え型PR-IP Inducerを産生したところ、発現産物はPR-IP Inducerとしての活性のみならず、SCD-IP-minusとしての活性をも示した。またPR-IPの産生誘導に必要な時間よりも、極めて短い時間、組換え型PR-IP Inducerを処理することで、有性分裂の誘導が可能であった。以上のことから、1.有性生殖過程においてPR-IP InducerがSCD-IP-minusとしても機能する、2.これらの生理活性の発現は異なる機構による、ことが示唆された。
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© 2003 日本植物生理学会
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