日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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ミカヅキモの有性生殖に関わる遺伝子群の解析 1.EST及びcDNAマイクロアレイ解析
*関本 弘之田辺 陽一土金 勇樹福田 裕穂出村 拓伊藤 元己
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p. 15

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抄録
ミカヅキモは、陸上植物ともっとも近縁な系統関係にある単細胞シャジクモ藻類である。中でもClosterium peracerosum-strigosum-littorale complexでは、性フェロモンを介した有性生殖機構について解析中であり、植物における有性生殖機構の進化を考える上で重要な材料といえる。本研究では、有性生殖過程の細胞のEST情報を取得し、さらにDNAマイクロアレイの作製を行った。これまでに、1190クローンの塩基配列を決定し、最終的に760のクラスターを得た。BlastX解析の結果、370種は既知のタンパク質との相同性を示さず、ミカヅキモに特徴的であることが示唆された。得られたクローンの中には既知の性フェロモンのホモログも含まれており、未知の性フェロモンをコードしている可能性も考えられた。これらに2304種の配列未決定のESTを加え、3072スポットからなるcDNAマイクロアレイを作製した。有性生殖誘導前と誘導初期(8時間)の細胞からmRNAを回収し、シグナルを比較した結果、有性生殖時には、性フェロモン及びそれらのホモログに加えて、ロイシンリッチリピートをもつもの、受容体型プロテインキナーゼをコードすると思われるものなど多数の遺伝子発現が顕著に高まることが明らかになった。今後、有性生殖の様々なステージを比較し、遺伝子発現プログラムの詳細を明らかにする予定である。
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© 2003 日本植物生理学会
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