日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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ブラシノステロイド生合成阻害剤ブラシナゾールがブラシノステロイド関連遺伝子の発現に与える影響
*田仲 究中村 考志浅見 忠男吉田 茂男松尾 友明岡本 繁久
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p. 180

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抄録
ブラシノステロイド(BR)は、植物の成長や分化の過程で重要な役割を担っている。シロイヌナズナを用いた分子遺伝学的解析により、今日までにBRの生合成・不活化・情報伝達に関わる遺伝子が数多く単離されてきた。生合成遺伝子DWF4CPDの発現に関しては、BR欠損変異体中で上昇することが報告されている。しかし、他の生合成及び不活化遺伝子の発現に関する知見は少ない。そこで私たちは、ブラシナゾール(Brz)により、BRの生合成を阻害したときに見られるBR関連遺伝子の発現を解析することにした。昨年度の年会で報告した実験系を用いて、ステロール生合成の共通経路、BRに特異的な生合成経路及びBR不活化経路に関わる11遺伝子の発現を定量的RT-PCRで調べた。その結果、Brzの添加により7つの遺伝子の発現上昇が見られた。この中には、DWF4CPDを含む5つのBR生合成遺伝子が存在した。CPDの発現誘導は、Brz添加後、2日目から始まり3日目で飽和した。この結果は、短時間(3時間)で発現誘導を受けるという以前の報告とは異なっていた。また、BR合成の材料となるステロール化合物の生合成に関わるFK及びDWF5遺伝子の発現も上昇していた。以上から、内生BR量の低下は、BR生合成のみならずステロール生合成に関わる酵素遺伝子の発現を増加させることで適正量に調節されると考えられた。
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© 2003 日本植物生理学会
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