日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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ブラシノステロイドは成長の盛んな器官で特異的に生合成される
*嶋田 幸久郷田 秀樹中村 郁子高津戸 秀藤岡 昭三吉田 茂男
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p. 179

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抄録
 シロイヌナズナのミュータントdet2などの解析から、ブラシノステロイド(BR)が形態形成に重要な働きを演じていることが広く認識されるようになった。また、CPD, DWF4, Dwarf/BR6oxなどいくつかの生合成遺伝子が同定された。しかし、ブラシノステロイドがどこで合成され、どこで働くのか、これまでほとんど解明されていない。我々は、ブラシノステロイド生合成の器官特異的な調節とその生理的意義を理解するために、研究を行った。内生ブラシノステロイド全ての器官において検出されたが、茎頂部が最も高いブラシノステロイド内生量を示した。次に高い内生量はサヤで検出された。一方、ブラシノステロイド関連遺伝子の発現も全ての器官において検出された。ブラシノステロイド生合成経路で特に重要な役割を果たす3遺伝子、BR6ox1, BR6ox2, DWF4は茎頂部で最も高い発現を示した。またBR6ox1, DWF4遺伝子はさサヤで2番目に強い発現を示した。これらの結果から、ブラシノステロイドは全ての器官で合成されるが、特に若く活発に成長している器官ほど合成量が多いことがわかった。一方、成熟した器官では合成量は限られていた。この結果は、ブラシノステロイドが成長促進ホルモンとして働くと言うこれまでの知見と一致する。
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© 2003 日本植物生理学会
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