日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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ブラシノステロイドはIAA及びDR5-GUS遺伝子の転写を活性化する
*中村 郁子樋口 可南子郷田 秀樹藤原 誠澤 進一郎小柴 共一嶋田 幸久吉田 茂男
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p. 186

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抄録
本研究ではTGTCTCを含むオーキシン応答性配列AuxRE (auxin response element)プロモーター領域に含むオーキシン早期応答遺伝子、IAA5, IAA19遺伝子及び同配列を含む合成オーキシン応答性配列(DR5)にβ-グルクロニダーゼ(GUS)遺伝子を融合したDR5-GUS遺伝子がオーキシン及びブラシノステロイド(BR)にどのように応答をするかを調べた。IAA5及びIAA19遺伝子はindole-3-acetic acid (IAA)により濃度依存的に素早く一過的に増加するのに対し、BLに対しては濃度非依存的で、徐々に継続的に増加した。DR5-GUS遺伝子もIAAとBLに対しIAA遺伝子と同様な発現応答を示したことから、これらの遺伝子が同じオーキシン応答因子を介してブラシノステロイドにより誘導されていることが示唆された。アラビドプシスではBL処理により生重量当たりのIAA量の増加は見られなかった。またBR生合成欠損変異体であるdet2においてIAA量は野生型に比べて増加しているにもかかわらず、IAA5遺伝子は減少していたことから、IAA5遺伝子はIAA量の変化とは独立に減少したと考えられた。これらの結果からTGTCTCを含むAuxREはオーキシンとブラシノステロイドの両方のシグナル伝達に関与していることが示唆された。
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© 2003 日本植物生理学会
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