日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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オオムギ半矮性遺伝子‘渦’はブラシノステロイド非感受性変異に起因する.
*最相 大輔蝶野 真喜子本多 一郎渡邊 好昭丹野 研一北野 英己武田 和義
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p. 185

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抄録
 オオムギの渦性は,3H染色体上に座乗する単一劣性遺伝様式を示す遺伝子uzuによって支配される半矮性形質を示す.渦性系統は耐倒伏性に優れた草型を示し、多肥密植条件で多収となる.同様の草型を呈し,「緑の革命」として知られるイネ及びコムギの半矮性形質は,何れもジベレリンに関わる変異によってもたらされているが,オオムギ渦性は古くからジベレリンとは無関係の変異であることが知られており,その遺伝的な制御機構については不明であった.本研究では,uzu遺伝子の同質遺伝子系統対を用いて形態的搏Iな側面から詳細に解析を行った.その結果,渦性系統は高温生育条件下では第一節間の伸長が抑制されるdm型の節間伸長様式を示すこと,ブラシノライド投与に対する応答性が低く,且つ内在性のブラシノステロイド類が過剰に蓄積していることが明らかとなった.これらの形質は,近年イネで報告されたブラシノステロイド非感受性変異体d61と酷似していた.そこで,並性(正常型)と渦性オオムギからD61相同遺伝子を単離し,その塩基配列を比較したところ,C末端側の機能性領域の中にアミノ酸変異につながる一塩基置換を見出した.この変異は,遺伝地図上で渦性と同座に位置付けられ,皮裸性や播性程度の異なる複数の渦性系統が同一の変異を有することを見出した.従って,オオムギ渦性はブラシノステロイドレセプターの変異に起因すると結論した.
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© 2003 日本植物生理学会
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