抄録
ブラシノステロイド(BR)とオーキシンは、成長調節において密接な相互作用があることが示唆されている。その相互作用について解明することを目的とし、シロイヌナズナのオーキシン非感受性突然変異体(axr1、axr2、tir1、aux1、axr4)を用いて、BRの感受性について調べた。試験したオーキシン非感受性突然変異体の中で、axr2だけが、胚軸でブラシノライドに対し感受性が低下していることが明らかとなった。その他の試験した突然変異体は、胚軸と根部のブラシノライド感受性にWild typeと比較して相違はみられなかった。このことから、axr2におけるBR内生量、あるいはBRシグナル伝達系の変化が示唆された。そこで、Wild type、axr1、axr2の内生BRの定量分析を行ったところ、axr2において、中間体の6-deoxotyphasterolが、著しく蓄積していることがわかった。また、BR生合成遺伝子の発現も、一部に変化が見られた。したがって、axr2では、BRの感受性と生合成の両方に変化があり、オーキシンのシグナル伝達に関わるAXR2が、直接または間接的に、BRのシグナル伝達や生合成にも役割を果たしていることが示唆された。