日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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光合成細菌Rhodobacter capsulatusにおける広宿主域ベクターを活用した光非依存性プロトクロロフィリド還元酵素発現系の構築:BchNBコンポーネントはプロトクロロフィリド結合蛋白質である
*野亦 次郎Carl BauerLee Swem藤田 祐一
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p. 198

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抄録

 光非依存型プロトクロロフィリド(Pchlide)還元酵素(DPOR)は、暗所でのクロロフィル合成を決定づける重要な反応を触媒する。先の研究で、紅色非硫黄細菌 Rhodobacter capsulatusを活用したDPORの各コンポーネント(BchLとBchNB)の精製と再構成系を報告した。今回、より多量のDPORコンポーネントの発現と精製を目指して、広宿主域ベクターpJRD215を利用した発現系の構築を行うとともに、これらを活用した各コンポーネントの活性を評価する系を確立した。pJRD215にpuc promoter断片を導入し、その下流にS-tagを付加したbchLを挿入したpYCL10と、同様にS-tag-bchNbchBを一連のオペロンとして挿入したpYCNB111を構築し、puc promoterの発現が野生株より数倍高い変異株DB18に導入した。これらの形質転換株の粗抽出液を用いることにより、各コンポーネントの活性を安定に評価することが可能となった。また、pYCNB111を有する形質転換体は、バクテリオクロロフィル含量が低下しPchlideの蓄積が認められた。この細胞から精製したBchNBは緑色を呈しており、吸収スペクトルからPchlideを結合していることが判った。この性質は、DPOR複合体においてBchNBが基質結合・触媒部位を供していることを示唆している。

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© 2003 日本植物生理学会
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