日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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3-ビニルバクテリオクロロフィリドヒドラターゼ遺伝子bchFを導入したシアノバクテリアSynechocystis sp. PCC6803に含まれる色素の性質
*関 智行北島 正治後藤 高紀伊藤 由加小林 正美井上 和仁
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p. 197

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抄録
クロロフィル(Chl)aは、クロロフィリド(Chlide)aに長鎖アルコールが付加して合成される。一方、バクテリオクロロフィル(BChl)aはChlide aからさらに数段階の酵素反応を経て合成されたバクテリオクロロフィリドaに長鎖アルコールが付加し合成される。我々は、Chlide aからのBChl a合成に必要な酵素の1つである3-ビニルバクテリオクロロフィリドヒドラターゼの遺伝子bchFを紅色細菌Rhodobacter capsulatusから単離後、シアノバクテリアSynechocystis sp. PCC6803の染色体DNAに挿入した株(bchF導入株)を作製した(2002年度植物学会、京都)。アセトン:メタノール(7:3、v/v)による色素抽出物をHPLC分析したところ、bchF導入株では、野生株にはみられない極性の高い4つのクロロフィル誘導体が微量検出された。FAB-MS分析より、これらは同じ化学組成であることが示唆された。吸収スペクトルより、4つの色素は3-ヒドロキシエチルクロロフィリドaおよびその立体異性体であると推定される。現在、これらの色素の同定と、細胞内での局在性について検討中である。
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© 2003 日本植物生理学会
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