日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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シロイヌナズナの糖応答性転写因子遺伝子の解析
*吉田 佳雅赤坂 真実用稲 真人前尾 健一郎中村 研三
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p. 236

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抄録
シンクやソースの機能制御、ストレス応答など植物生長の様々な面で重要な役割を果たす糖に応答した遺伝子発現制御には、複数のシグナル伝達経路が関わる。しかし、糖シグナル応答に関与することが明らかになった転写因子は極めて限られている。我々は、シロイヌナズナのマイクロアレイを用いて糖に応答したmRNA レベルの変動を網羅的に解析し、多数の糖応答性遺伝子を同定した。その中の転写因子遺伝子について、更に詳細な解析を進めている。ショ糖による誘導比の最も高かった遺伝子の一つがAtMYB90である。AtMYB90はアントシアニン合成系遺伝子の発現に関与することが最近報告され、その糖による誘導は糖によるアントシアニン蓄積の誘導に関わると考えられる。AtMYB90 mRNA はグルコースでも誘導されたが、2-デオキシグルコースやABAには顕著な応答を示さなかった。ショ糖により多くの bZIP因子のmRNAレベルが変動し、その多くがABAにも応答することから、ABA 依存的な糖シグナル応答経路で働いていると推定される。しかし、bZIPの中でもAtbZIP22 と AtbZIP63のmRNA は、ショ糖処理後急速に誘導、あるいは抑制をうけたが、ABAに対しては顕著な応答を示さなかった。また、これら2つのbZIP mRNA のショ糖による誘導や抑制はシクロヘキシミド存在下でも起こった。
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© 2003 日本植物生理学会
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