日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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シロイヌナズナのエタノール高感受性変異株gek1の解析
*藤重 直子西村 宜之井内 聖篠崎 一雄平山 隆志
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p. 27

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抄録

 高等植物であるシロイヌナズナからエタノール高感受性変異株geko1gek1)を単離した。gek1は0.03%のエタノール存在下で発芽・生育共に阻害されるが、エタノール非存在下では正常に生育する。マッピングにより原因遺伝子を同定した結果、GEK1は新規な遺伝子で、機能を示唆する既存のドメインは認められなかった。相同性検索の結果、興味深いことに植物と古細菌にのみ存在が確認された。
 本研究では、GEK1の機能を明らかにする目的で、植物、大腸菌、酵母の系でGEK1の過剰発現を試みた。GEK1を過剰発現させたシロイヌナズナでは、エタノール高感受性の表現型が回復しただけではなく、エタノール耐性を獲得していた。反対にco-suppressionが起きたと思われる植物体は、エタノール高感受性を示し、植物体内のGEK1発現レベルとエタノール耐性に相関が見られた。一方、大腸菌や酵母でGEK1を過剰発現させたが、エタノール感受性に変化は見られなかった。以上の結果は、GEK1タンパク質が、植物(もしくは植物と古細菌)特異的なエタノール代謝経路に関与している可能性を示唆した。この機能未知であるGEK1の役割について考察したい。

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© 2003 日本植物生理学会
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