日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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アスパラガス不定胚形成時に発現するペルオキシダーゼAoPOX1の機能解析
*竹田 浩之中川 直樹桜井 直樹
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p. 272

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抄録
我々はアスパラガスの培養細胞を用いて不定胚形成時に細胞壁で働くタンパク質の同定、機能解析を試みてきた。アスパラガスのカルスは2,4-Dを含む培地(+2,4-D)では脱分化したままだが、-2,4-D培地では分化して不定胚を形成する。胚形成にともなって強く発現し、細胞壁に分泌されたペルオキシダーゼの一つ、AoPOX1を同定し、全長cDNAをクローニングした。AoPOX1の機能を調べるためにHisタグを付けた融合タンパク質を大腸菌内で発現させ、基質特異性を検討した。6種類のフェニルプロパノイドのうちAoPOX1はFerulic acidとConiferyl alcohol (CA)に強い基質特異性を示した。HPLCでCAのAoPOX1による反応生成物を精製し、GC-MSと1H-NMRで構造解析をおこなった。反応生成物はDehydrodiconiferyl alcohol (DDCA)であった。不定胚培養系の培地中には10-8MレベルのDDCAが含まれていた。DDCAにグルコースが結合したDehydrodiconiferyl glucoside(DCG)は細胞分裂促進作用があることが報告されている(Binns et al. 1987)。AoPOX1はDDCAあるいはDCGを合成することでアスパラガス不定胚形成に寄与していると考えられる。
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© 2003 日本植物生理学会
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