日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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原形質連絡タンパク質として期待されるタバコGLPの解析
*岸 光子村田 隆長谷部 光泰渡邊 雄一郎
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p. 271

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抄録
高等植物の原形質連絡では細胞膜とデスモチューブルが細胞壁を貫通しており、この構造を通してタンパク質や核酸などが輸送される。しかし原形質連絡に局在するタンパク質についての知見は少なく、タンパク質などの輸送を調節する機構は未解明である。一方、原形質連絡は植物ウイルスが隣接細胞へ感染していく通り道としても利用される。タバコモザイクウイルスの移行タンパク質(MP)は、原形質連絡に局在し、排除分子量限界を拡大する事が知られている。
我々は原形質連絡中のMP結合タンパク質を探索する目的で、MPを構成的に発現する形質転換タバコ細胞壁からMPを抽出し同時に抽出されるタンパク質を原形質連絡タンパク質候補として解析した。高濃度のLiCl処理はMPを細胞壁から抽出し、原形質連絡の構成要素を減少させる。この時に得られる画分には推定分子量24 K, 25 Kのタンパク質が主要に含まれ、N末端アミノ酸配列からgermin like protein (GLP)ファミリーに属していると予想された。このタンパク質をクローニングしたところ、細胞壁への局在が示されているモモのauxin-binding protein 19/20、病原微生物への応答に関与することが示唆されているオオムギのGLP1などと高い相同性を示すGLPが得られた。ウイルス感染時に見られる原形質連絡内部の変化へのタバコGLPの関与が期待される。
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© 2003 日本植物生理学会
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