日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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ラン藻 Synechocystis sp. PCC6803のグリセロール‐3‐リン酸アシルトランスフェラーゼ遺伝子の単離
*岡崎 久美子西田 生郎
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p. 29

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抄録

 グリセロール‐3‐リン酸アシルトランスフェラーゼ(EC 2.3.1.15; GPAT)は真正細菌および真核生物におけるグリセロ脂質生合成の初発反応を司る酵素である.真核生物はゲノム中に複数のGPAT遺伝子を持ち,それは細胞内共生によって獲得された遺伝子に由来すると考えられる.植物ではGPAT活性は3つの細胞内小器官(小胞体、色素体、ミトコンドリア)にみられるが,色素体のGPATに対する核コード遺伝子(ATS1)のみがこれまで報告されている.
  ATS1遺伝子のコードするGPATは水溶性酵素であるのに対し,ラン藻のGPATは膜結合性の酵素であると予測されている.そのため,ATS1遺伝子の進化的起源およびラン藻GPAT遺伝子との関係について興味が持たれたが,これまでラン藻のGPAT遺伝子については全く報告がなかった.今回,我々は,種々のアシルトランスフェラーゼで保存されているアミノ酸配列モチーフ(Lewin et al. (1999) Biochemistry 38: 5764-5771)を,ラン藻Synechocystis sp. PCC6803のゲノムに対してProScanによる検索を行い,ATS1の祖先型である可能性の高い新規のアシルトランスフェラーゼ遺伝子(CyGPAT)を単離した.本遺伝子のGPAT活性および他のラン藻における分布についても報告する.

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© 2003 日本植物生理学会
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