日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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PR-10/Bet v 1ファミリーは細胞質と核に局在する
*宇梶 徳史竹澤 大輔荒川 圭太藤川 清三
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p. 308

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抄録
冬季に-80℃以下の高い凍結耐性を獲得するクワ(Morus bombycis Koidz.)皮層柔細胞では、秋から冬にかけての季節的低温馴化に伴い、可溶性画分に18kDの分子サイズを有するタンパク質(WAP18)の蓄積が見出される。精製したWAP18は、in vitroに於いて凍結・融解による乳酸脱水素酵素活性低下を防止したことから、WAP18はクワ皮層柔細胞が獲得する冬季の凍結耐性獲得に、何らかの形で貢献するものと推測される。cDNAクローニングにより、WAP18はPR-10/Bet v 1ファミリーと高い相同性を有することが示された。ノーザン解析を行ったところ、WAP18遺伝子は、4℃の低温処理のみならず、wounding、エテフォン、およびサリチル酸による誘導が見られた。
一方、PR-10/Bet v 1ファミリーはその推定されるアミノ酸配列から、細胞質に局在すると推測されているが、正確な細胞内局在は示されていない。そこで、WAP18のクワ皮層柔細胞における細胞内局在を、免疫電子顕微鏡法を用いて観察したところ、細胞質と核に金コロイド標識が見いだされた。このことから、PR-10/Bet v 1ファミリーは細胞質と核に局在することが示唆された。
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© 2003 日本植物生理学会
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