日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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細胞分裂の縦横:シロイヌナズナ細葉変異体 angustifolia3 の解析
*堀口 吾朗塚谷 裕一
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p. 330

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抄録
 高等植物の葉身は扁平であるため、根や茎には見られない特異的な成長制御機構が存在すると考えられる。これまでに我々は、葉の二次元的な成長には、縦・横独立の細胞極性伸長が関与することを明らかにしてきた。一方、細胞分裂の方向性が葉身の形態形成に果たす役割は不明である。そこで、この点について知見を得るため、シロイヌナズナの新たな細葉変異株、angustifolia3 (an3) を単離し解析を行った。an3 変異株は、葉の長さは野生株と同様であるが、葉身の幅は約25%減少する。一方、葉肉細胞の縦横比は野生株とan3 変異株で差が認められない。これらの結果は、葉身における細胞分裂の方向性はランダムに決定されるわけではなく、縦と横それぞれの方向に極性を持つように制御されていることを示唆する。また、葉の細胞の幅が減少することで細葉の表現型を示すan と、an3 との2重変異株は、相加的な表現型を示すため、葉の幅方向の細胞伸長と細胞分裂とは独立に制御されていると考えられる。現在、an3 の原因遺伝子をクローニング中であり、その経過についても報告する。
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© 2003 日本植物生理学会
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