日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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ヒャクニチソウ管状要素分化における活性酸素の役割
*中名生 幾子吉良 拡福田 裕穂
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p. 329

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抄録
管状要素分化では、二次壁形成、プログラム細胞死等の一連の事象が時間的空間的に秩序だって起こる。しかし、それらを制御する機構についての知見は現在のところ乏しい。そこで、今回は活性酸素に着目し、ヒャクニチソウ管状要素分化系を用いて、管状要素内での活性酸素の局在と管状要素分化における役割について調べた。葉肉細胞から管状要素へと分化する過程で、二次壁形成が起こり始める頃をピークに、細胞先端にO2-が発生することをnitroblue tetrazoliuim (NBT) 染色により見出した。この領域は、FITC-WGAで認識される二次壁沈着開始部位と一致していた。NADPH oxidase 阻害剤であるDPI を添加するとNBT での染色が見られなくなることからNADPH oxidase がこのO2-の生産に関わっていると考えられた。DPIは二次壁形成直前に加えると二次壁形成を抑制したが、二次壁形成開始直後の添加では二次壁形成は抑制されなかった。以上のことから、NADPH oxidase によって生産される細胞先端でのO2-が二次壁沈着の引き金となっている可能性が示唆された。
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© 2003 日本植物生理学会
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