抄録
モデル植物として汎用されている栽培品種タバコNicotiana tabacum(複二倍体,染色体数2n=24+24)の核ゲノムは2種類のサブゲノムから成り,それぞれは祖先種であるN. SylvestrisおよびN. tomentosiformis(共に二倍体,染色体数2n=24)由来である.一方,細胞質オルガネラである葉緑体は独自のゲノムをもっているが,核ゲノムとは異なりN. Sylvestris由来と考えられている.しかし,現在のところN. tabacum葉緑体ゲノムの由来を明確に実証した報告はない.そこで我々はショットガンシークエンス法を用いてN. SylvestrisおよびN. tomentosiformis葉緑体ゲノムの全塩基配列決定を行い,1986年にすでに決定されているN. tabacum葉緑体ゲノムの全塩基配列と比較してN.tabacum葉緑体ゲノムの由来をゲノムレベルで確認した.比較解析の結果,N.tabacum葉緑体ゲノムは確かにN. Sylvestris由来であることが明らかになった.