日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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タバコミトコンドリアのゲノム解析とデータベースの構築
*杉山 康雄長瀬 正和渡瀬 雄介茂森 舞軸屋 博之平井 篤志杉浦 昌弘
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p. 426

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抄録
高等植物ミトコンドリアのゲノムは現在までにシロイヌナズナ、テンサイ、及び、イネで決定されている。ミトコンドリア内膜の呼吸鎖タンパク質、ATP合成酵素、リボソームタンパク質とcytC生合成酵素(いずれも一部のサブユニット)をコードする遺伝子、rRNAとtRNA遺伝子他、多数の未知ORFがある。植物種間で遺伝子構成は全く同じではなく、互いに欠落した遺伝子がある。このことは、高等植物ミトコンドリア遺伝子は現在核に移行途上であることを示唆しているのかも知れない。また、同一細胞内のプラスチドから遺伝子が移行している例も見られる。このように、ミトコンドリアのゲノム解析は植物細胞の3種類のゲノム(核、プラスチド、ミトコンドリア)間の遺伝子移動と進化を考察する上で欠かせないものである。さらに、転写後のRNA編集機構やグループIIイントロンの自己スプライシング機構のin vitroでの実験的解析が待たれる。
 我々はタバコミトコンドリアのゲノム塩基配列を決定した。その結果、タバコミトコンドリアのゲノムは3つの環状サブゲノムから成ること、それらはマスターサークルにもなりうること、ゲノム塩基数は400 kbであることが分かった。現在、上述の多くの未解明な課題を明らかにするため、そのゲノム・遺伝子解析(RNA編集部位の特異性を規定するトランス因子などの探索)を進めている。
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© 2003 日本植物生理学会
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