抄録
RNAのプロセシングに関与するRNaseIIIや、ウイルス感染防御にはたらくPKR (dsRNA-activated protein kinase)など、2本鎖RNAに特異的に結合するタンパク質が様々な生物で発見されている。最近では、ショウジョウバエにおいて、2本鎖RNA結合モチーフ(dsRBM)およびRNaseIIIモチーフを含むDICERが、2本鎖RNAによって引き起こされるジーンサイレンシングに関与することが報告されている。我々は、dsRBMに特徴的な配列をもとにデータベースを検索し、シロイヌナズナで7つ(HYL1, ADB2, ADB3, ADB4, CAF, RTL1, CPL1)のdsRBM様配列を含む遺伝子を見出した。その中でもCAF、RTL1はRNaseIIIモチーフとdsRBMを含んでいることから、ジーンサイレンシングへの関与が期待される。これらの遺伝子産物の機能を明らかにするため、ノースウエスタン法およびファーウエスタン法を用いて、2本鎖RNA特異的結合活性およびタンパク質間相互作用の解析を行った。これらのタンパク質はいずれもdsRBMを2つ含むにもかかわらず2本鎖RNAに対する結合活性に大きな差があること、これらのタンパク質がdsRBMを介し相互作用すること等が明らかとなった。