日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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シロイヌナズナのASYMMETRIC LEAVES1とASYMMETRIC LEAVES2蛋白質は複合体を形成し、葉の左右相称的形成を制御する
*岩川 秀和Endang Semiarti上野 宜久相馬 徹平小島 晶子塚谷 裕一町田 千代子町田 泰則
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p. 484

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抄録
植物の葉は成長に伴って茎頂メリステムから発生分化し、三つの軸(向軸背軸・基部先端部軸・中央側方軸)に沿って成長する。シロイヌナズナのasymmetric leaves2 (as2)変異体は、小葉様の構造体が形成され、葉の切れ込みや葉脈パターンが左右非対称になり、葉の左右相称軸としての中肋の形成に異常が認められた。我々は、葉の発生分化を分子レベルで解析するために、as2変異の原因遺伝子を同定した。AS2遺伝子は植物特有の新奇蛋白質をコードし、シロイヌナズナのゲノム上に42個のメンバーを持つファミリーに属していると考えられた。これらの遺伝子がコードする蛋白質は、C-motif (Cx2Cx6Cx3C)とロイシンジッパーを含むAS2ドメインをN末側に持つが、C末側の領域はあまり保存されていない。as2とよく似た表現型を示す変異体としてas1が知られている。AS1遺伝子はMYB様の転写因子をコードしていることが報告されている。我々はAS1とAS2がin vitro系において相互作用することを明らかにした。またAS1AS2の発現を調べたところ、葉原基において共に発現している領域が存在した。さらに変異型GFPを用いて細胞内局在を調べたところ、核に共局在した。これらのことからAS1とAS2は相互作用して、核で機能していると考えられる。これにより、AS1・AS2複合体が葉の発生過程の初期段階において機能していることが考えられる。
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© 2003 日本植物生理学会
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