抄録
eye (embryo yellow)は胚形成の成熟期に異常を示す変異体として、シロイヌナズナのT-DNA挿入系統より分離された。発芽したeye変異体は、矮小であり、茎頂から多くの不定葉を形成した。EYE遺伝子は、アミノ末端側にコイルドコイル構造を持つタンパク質をコードしていると予測された。このコイルドコイル構造を含むアミノ末端領域のみを発現させたところeyeの表現型を回復することができた。このことから、アミノ末端側の領域がEYEの機能にとって重要であることが示された。また、EYEは哺乳動物のCog7のホモログである。Cog7は、ゴルジ装置に局在するCOG複合体の構成因子の一つであることから、eye変異体の表現型は、細胞壁多糖類の合成やタンパク質の修飾といったゴルジ装置の機能が低下したことが原因なのかもしれない。