日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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イネの葉におけるOsSCR遺伝子の発現解析
*神谷 紀子伊藤 純一長戸 康郎松岡 信
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p. 487

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抄録

 SCR遺伝子は様々な植物において根の内皮及び静止中心に発現することが報告されており、シロイヌナズナにおいては内皮・皮層始原細胞の娘細胞における不等分裂に関与していることが明らかとなっている。
 我々はイネよりOsSCR遺伝子を単離し、その発現パターンを詳しく調べた。根においては他の植物と同様に内皮及び静止中心に発現していたが、地上部においては非常に興味深い発現パターンを示した。若い葉原基(P1, P2)では将来維管束が分化する領域以外のすべての細胞で発現しており、葉原基の発達に伴いOsSCRはL1層のみに発現するようになる。さらに、発達した葉原基の先端側ではある間隔をおいて特定の細胞列、あるいは特定の細胞に発現していた。これ以降の発現パターンからこれらの細胞列が気孔の形成される列であり、気孔形成の初期においては孔辺母細胞と副細胞に発現し、その後、孔辺母細胞が等分裂をするころには副細胞のみに発現することが明らかとなった。これらのことから、OsSCRは内皮の形成のみでなく、気孔の形成における不等分裂(特殊な細胞分裂)にも関与している可能性が考えられる。

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© 2003 日本植物生理学会
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