日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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植物の基本転写因子TAF10の機能解析
*玉田 洋介中森 一樹松田 健太郎古本 強畑 信吾泉井 桂
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p. 492

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抄録
 我々はフラベリアおよびシロイヌナズナより基本転写因子TAF10を単離し、解析を行っている。TAFsはTFIID複合体の構成因子であり、TFIIDを介した転写開始に必須と考えられていたが、近年いくつかのTAFが組織・時期特異的な発現を示すことが明らかとなっている。我々はこれまで、TAF10が植物において維管束組織に強い発現を示すこと、シロイヌナズナの35SプロモーターによるTAF10異所的過剰発現体が、未熟葉の大量発生などの形態異常を示すことを明らかにしてきた。
 今回我々は、シロイヌナズナを用いたTAF10 promoter :: GUS形質転換植物の解析により、TAF10のより詳細な発現解析を行った。その結果、胚軸の上部に恒常的な強い発現が観察された。また、側根、ロゼット葉、花芽、花弁、雄蕊、雌蕊、胚珠、種など様々な組織の分化・発生段階において一過的な発現を示すことが明らかとなった。この結果は、植物のTAF10がこれらの器官における発生の一時期において特定の遺伝子の転写に関与することを示唆している。また、T-DNAタグラインにより得られた複数のTAF10発現抑制系統から、花成遅延や抽台時に複数の花茎が形成されるなどの表現型が観察された。これらの結果をまとめ、TAF10の機能に関する最新の仮説を報告する。加えて、in situ法によるTAF10の詳細な発現場所の解析結果もあわせて報告する。
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© 2003 日本植物生理学会
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