抄録
植物の研究は全ゲノム情報が明らかになっているモデル植物・シロイヌナズナを中心にして進んでいる。今後は他の植物種においても、ゲノム解析と突然変異体解析を両立しえるモデル植物を指定し研究を進め、シロイヌナズナで得られている知見と比較検討することで、植物共通の分子機構、種特異的な制御機構を明らかにし、進化や種の多様性の研究に発展させていくことが重要になっていくと考えられる。
マメ科植物ミヤコグサは、ゲノムが比較的小さく遺伝子導入法も確立しており、研究成果がダイズなどの有用植物に適用できることなど、シロイヌナズナの次の双子葉モデル植物として最近世界的に注目されている。しかしながら、ミヤコグサの育成管理には比較的整備された温室と人手が必要であり、突然変異体株の作成及び突然変異体選抜が困難なことがミヤコグサを用いた研究が進まない大きな原因となっている。
我々は現在ミヤコグサ突然変異体群の作成及び形態形成異常突然変異体の選抜を進めている。これらの突然変異体を一般に広く公開することによって、日本の植物基礎研究の基盤整備に少なからず貢献できるものと考えている。当日は、単離した形態異常突然変異体の報告及び今後の公開予定について話を行う。