日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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シロイヌナズナのオゾン感受性突然変異体 oji1
*神名 麻智久保 明弘玉置 雅紀中嶋 信美佐治 光青野 光子
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p. 500

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抄録
オゾンに植物が暴露されると、植物の生体内で活性酸素を生じ障害を引き起こすことが知られているが、詳細な機構は未解明である。そこで、本研究では、オゾンに対し、野生型よりも感受性の高い突然変異体を用いて、オゾン感受性の原因となる遺伝子を探索し、その機能を調べることにより、植物の環境ストレス応答および耐性機構を解明することを目的とした。
シロイヌナズナ突然変異体( T-DNAタギングライン )の中から、野生型と比べオゾンにより可視障害がでやすくなっている個体を選抜した。そのうちの一系統について、植物の傷害に関わるホルモンであるエチレンの生成量の測定を行ったところ、野生型よりもオゾン暴露時におけるエチレン生成量が高いことがわかった。また、植物の防御反応に関わることが知られているジャスモン酸の感受性を根の伸長によって調べたところ、この変異体は、野生型と比べ、ジャスモン酸に対する感受性が低いことがわかった。そこでこの変異体をoji1 (Ozone-sensitive, Jasmonate-Insensitive 1)とした。低濃度のジャスモン酸スプレーにより、オゾン暴露時におけるエチレン生成量およびイオンの漏出が野生型においてのみ抑えられた。
以上の結果からoji1 のオゾン感受性の原因は、ジャスモン酸を感受できないことにより、オゾン暴露時のエチレン生成が抑制されないためであることが示唆される。
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© 2003 日本植物生理学会
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