日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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オゾン感受性シロイヌナズナ突然変異体の単離と解析
*青野 光子神名 麻智川島 朋子久保 明弘玉置 雅紀中嶋 信美佐治 光
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p. 499

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抄録
我々は、オゾンによる植物の障害の機構を明らかにするため、オゾン感受性突然変異体を用いて研究を行っている。突然変異原処理を行ったシロイヌナズナCol gl1 180000個体及びWs-2 13000系統から、オゾン暴露時の可視障害を指標として、9系統の突然変異体を選抜した。まず、これらの突然変異体の他のストレス要因に対する感受性を調べた。低温、強光、パラコート(除草剤)、二酸化硫黄ガス及び紫外線でそれぞれ処理したときの突然変異体の可視障害を野生型と比べたところ、オゾンと紫外線以外の4つのストレス要因に対する感受性は様々で、異なった組み合わせのパターンを示すことが分かった。このことから、オゾン感受性の原因は単一ではなく、複数であることが推察された。更に、Colバックグラウンドである4系統の突然変異体の分子マーカーを用いたラフマッピングでは、原因遺伝子の座乗染色体はそれぞれ異なることが示された。
オゾンによる障害には、傷害ホルモンであるエチレンが関与していることが知られている。Colの突然変異体におけるオゾン暴露中のエチレン生成量を測定したところ、野生型よりもやや高いエチレン生成量を示すものが2系統あった。これらの系統では高いエチレン生成によりオゾン障害が促進されていると考えられる。一方、障害を防ぐ抗酸化物質であるアスコルビン酸含量には、突然変異体と野生型との差は見出されなかった。
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© 2003 日本植物生理学会
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