日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
会議情報

シロイヌナズナの根における接触屈性関連遺伝子の探索
*山本 千草浅見 加菜子清田 真由金田 真樹中島 聡子小泉 好司坂田 洋一田中 重雄
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 504

詳細
抄録
植物の根は、重力のみに従って地中に伸長していくのではなく、土壌の水分や養分などを探索し、また物理的刺激である土壌の硬さや質、間隙の大きさなどを感知して、よりよい環境を主体的に求めて成長していくと考えられる。そこで、本研究では根の土壌の硬さに対する認識応答の分子機構を解明する目的で、シロイヌナズナの根の硬軟認識検定法を用いて突然変異体の選抜・解析と、AFLP-based mRNA fingerprinting (AMF)法による接触屈性関連遺伝子の探索を行った。
 濃度の異なるphytagel培地を上下二層に積層したのち、上層表面にシロイヌナズナを播種し、実生の根が上層から濃度の高い下層培地に到達したときに境界面で屈曲するか、あるいは下層を貫入するかどうかで硬軟認識の判定を行った。この硬軟認識検定法を用いて、T-DNA挿入種子約5,000個体から突然変異体の選抜を行ったところ、野生株とは異なる貫入率を示す2つの変異候補株を得た。現在候補株の遺伝性ならびに変異表現型解析を行っている。
 また、この検定法を用いて、より硬い下層培地に接触する前の野生株の根と、接触直後の根、および接触後上下二層の境界面で屈曲した根から、それぞれのcDNAを調製し、AMF法により発現パターンを比較検討した。接触時、または屈曲時に特異的な発現を示すバンドについては、ノザンブロット解析により再現性を確認し、現在、配列の決定したバンドについて接触屈性との関わりを検討している。
著者関連情報
© 2003 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top