日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
会議情報

パプリカ色素体のNAD(P)H脱水素酵素の生化学的解析
*山田 光則水落 絵理三芳 秀人吉田 賢右茂木 立志
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 522

詳細
抄録
 ミトコンドリア内膜やバクテリアの細胞膜に存在する呼吸鎖複合体I(プロトン輸送性NADH脱水素酵素)は、酸化的リン酸化に重要な役割を果たしており、NuoEFGサブユニットを基質酸化部位とする0.5~1 MDaの超分子複合体である。シアノバクテリアや高等植物の色素体でも循環的光リン酸化や暗呼吸に複合体Iが働いているが、シアノバクテリアと色素体のゲノムはNuoEFG遺伝子を欠き、光合成系複合体Iのサブユニット構造と基質特異性は未だ明らかでない。本研究では、パプリカの赤色果実からミトコンドリアの混入の少ない有色体を単離し、チラコイド膜のNAD(P)H脱水素酵素の性質を検討した。
 チラコイド膜をシュクロースモノラウレートで可溶化後、陰イオン交換HPLCでNAD(P)H酸化活性を示す2つの画分を得た。FNRは両画分の間に溶出されることが免疫化学的に確認された。画分1のNADH酸化活性はpH 6~8の範囲でほぼ一定で、NADHとNADPHに対する親和性は0.97 mMで一致した。一方、pH 6.5に最大活性を示す画分2は、NADPHよりも3倍高い親和性をNADH (0.28 mM) に対して示し、見かけの分子量は非変性電気泳動で約0.4 MDa、ゲルろ過で約0.3 MDaと推定され、色素体複合体 Iと考えられる。現在、両画分の酵素の単離精製と基質特異性の検討を進めている。
著者関連情報
© 2003 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top