日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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覆輪カーネーションの花色形成におけるアントシアニン合成系遺伝子の発現パターン
山岸 綾*伊藤 佳央中山 真義福田 直子吉田 洋之小関 良宏
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p. 534

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抄録
 花の模様の中でも広く親しまれているものに、花弁が地の色とは別の色で縁取られている「覆輪花」があり、その縁の部分は覆輪と呼ばれている。カーネーション (Dianthus caryophyllus) の花弁に含まれるフラボノイド系色素には、無色から淡黄色のフラボノール、赤から紫色のアントシアニンがあり、アントシアニン生合成系の種々の酵素によって生合成され液胞に輸送、蓄積されることによって花色として発現する。本研究ではカーネーションにおいて覆輪を形成する要因を解明することを目的とし、色素分析、アントシアニン生合成系の酵素の遺伝子発現様式の解析等を行った。その結果、赤地に白色覆輪花では白色部分のアントシアニン含有量が微量であるとともに、有機酸が著しく蓄積していることが示された。また、白色部分で CHS (chalcone synthase) の発現が抑えられていることが見い出された。暗赤色地に赤色覆輪花では DFR (dihydroflavonol 4-reductase) 以降の遺伝子が花の成長初期段階から発現していることが示された。さらに、アントシアニンの液胞への輸送に関与することが示唆されている GST (glutathione S-transferase) 相同遺伝子をカーネーションから 2 種単離し、そのうち 1 種が花特異的に発現し、DFR 以降の遺伝子群と同様の挙動を示すことが見い出された。
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© 2003 日本植物生理学会
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