日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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カーネーション花弁におけるフラボノイド配糖体化酵素について
*緒方 潤吉田 洋之伊藤 佳央小関 良宏
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p. 535

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抄録
 フラボノイドは、植物の花における黄から赤や青の色調を発現している主要な植物色素である。フラボノイドの多くは配糖体化酵素(GT)により細胞内で配糖体化され、液胞に蓄積する。この配糖体化はフラボノイド化合物の水溶性化を増大するだけでなく、その花弁の色調を変化させる。カーネーションにおいて、その黄色花弁はカルコン2'-グルコシドの蓄積、赤色花弁はアシル化アントシアニジン3,5-ジグルコシドの蓄積が見られる。そこで我々は、黄色花弁および赤色花弁からのGT遺伝子の単離および解析を行った。これまでに報告されているGT遺伝子における保存領域から構築した degenerate primer を作成し、黄色および赤色品種のカーネーション cDNA から相同的GT遺伝子断片を取得した。またその遺伝子全長をタンパク質として発現させ、その酵素の活性を HPLC等で確認した。その結果、カルコン2'-GT(C2'GT)およびフラボノイド3-GT(F3GT)を検出した。特にC2’GTはカルコン以外のフラボノイド化合物にも配糖体化の触媒活性を有する広い基質特異性を有し、その糖結合位置にも違いが見られた。このことからC2'GTは花色の分子育種において黄色花、新規花色の作出の重要な遺伝子ツールになるものと考えられる。
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© 2003 日本植物生理学会
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