抄録
植物は常に強光、低温、酸性雨などの環境ストレスにさらされ、その生存のために細胞応答をしている。すでに強光あるいは低温などの環境ストレスに対する応答のメカニズムについては数多くの報告があるが、酸性ストレスについてはほとんどない。そこで我々は酸性pH条件をいろいろ検討した上で、ラン色細菌Synechocystis sp. PCC 6803をpH3.0の培地で30分~4時間培養した細胞と通常pH条件で培養した細胞からRNAを精製し、DNAマイクロアレイを用いて両者の遺伝子発現の違いを網羅的に比較した。その結果、低pHにより誘導される遺伝子をおよそ30個見い出した。これらの主な遺伝子の発現量の相違をノーザンハイブリダイゼーションにより確認した。さらにこれらの代表的な遺伝子破壊株を作成し、酸性ストレスに対する応答機構を解析しつつある。これらの結果についても報告する予定である。