日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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植物のアルミニウムストレスにおける2つのAtGST遺伝子の発現誘導機構に関する解析
*江崎 文一鈴木 正勝河村 雅子松本 英明
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p. 561

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抄録
 これまでにAlストレスに対して誘導性を示す遺伝子が多数単離されており、この中にはAl耐性に関連する遺伝子もある。しかし、Alストレスによる誘導機構そのものに関する解析はその後、進んでいない。また、誘導性機構の解明はストレス耐性を獲得するためにも重要であると思われるので、その解明を試みている。
 我々は既に、アラビドプシス由来のAl誘導性遺伝子である2つのグルタチオン-S-トランスフェラーゼ遺伝子 (AtGST1、AtGST11) のプロモーター領域とGUSリポーター遺伝子との融合遺伝子を持つアラビドプシス形質転換植物を構築している。今回これを用いて、各々の遺伝子のAlストレス条件下での発現時期と発現領域を蛍光定量法と染色法で検討した。その結果、AtGST1遺伝子は処理開始後約2時間目に主に葉で、AtGST11遺伝子は8時間目付近で葉と根で発現していた。プロモーター部位の塩基配列の比較から、Al ストレスに対する応答性の違いは、両プロモーター部位の塩基配列の違いによることが示唆された。さらにAtGST11遺伝子のプロモーター領域へ結合する発現調節の因子の有無を調べるため、単離した粗核抽出画分を用いてゲルシフトアッセイを行った。その結果、核因子が結合していると思われるバンドが見られたので、さらに狭い結合領域への絞り込みを行っている。
 
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© 2003 日本植物生理学会
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