抄録
エンドウ(Pisum sativum cv. Alaska)において、アルミニウム(Al)は根端のAl集積部位に特異的に活性酸素を誘発する。本研究では、まず、スーパーオキシドアニオン(O2-)と特異的に反応して発光する2-methyl-6-(4-methoxyphenyl)-3,7-dihydroimidazo-[1,2-a]pyrazin-3-one hydrochloride (MCLA)および2-methyl-6-phenyl-3,7- dihydroimidazo-[1,2-a]pyrazin-3-one (CLA)を用いて、AlによるO2-の誘発部位を検討した結果、Alは細胞の内側と外側の両方においてO2-を著しく誘発していることを明らかにした。
次に、O2-のスカベンジャーであるタイロンを用いて、AlによるO2-の誘発と根伸長阻害との関わりを検討した。PCV法により、10 μMのAlに対して25 μMまでのタイロンにはキレート効果が全く無いことが示唆された。そこで10 μMのタイロンを添加し、様々な濃度のAl (0-6μM)で24時間処理をした結果、タイロンはAlによるO2-の誘発を抑制するとともに、Al障害の指標である根伸長阻害とカロースの合成を完全に抑制した。
以上の結果より、Alは細胞の内外ともにO2-を誘発すること、AlによるO2-の誘発は根伸長阻害の原因である可能性が示唆された。