抄録
2002年度年会にて報告したとおり、我々は8,987のESTクローンを選抜してcDNAマイクロアレイを作製し、イネの遺伝子発現解析を行うためのシステムを構築してきた。各ESTクローンのインサート全長、または遺伝子特異的領域 (3'-UTR) をプローブとして用い、Full Insertアレイと3ユ-UTRアレイを作製した。ABAまたはジベレリンで処理したカルスより得たサンプルを上記2種類のアレイにハイブリダイズさせた結果、発現比にして2倍以上の変動を示した遺伝子数はFull Insertアレイでは25、3'-UTRアレイでは117であった。Full Insertアレイは、gene familyの包括的な解析に適しており、3'-UTRアレイは、より遺伝子特異的な解析に適していることが示された。我々は、Full Insertアレイを用い、これまでに約1,300種類のRNAサンプルについて解析を終了している。これらの実験結果をイネ遺伝子発現データベース(RED)に格納しており、2002年12月に公開している。また、イネ完全長cDNAプロジェクトにより得られた29,000クローンから、マッピング情報に基づいて22,000の独立クローンを選抜し、単鎖オリゴヌクレオチド(60-mer)をプローブとしたオリゴヌクレオチドアレイの構築および評価を進めている。