日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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real-time RT-PCR法を用いたイネcDNAマイクロアレイの遺伝子発現データの検証
*長田 夕子矢崎 潤史藤井 文子真保 佳納子島谷 善平橋本 晶子岸本 直己菊池 尚志
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p. 572

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抄録
cDNAマイクロアレイ法は、ハイブリダイゼーションの原理に基づく遺伝子発現解析手法の一つである。一般にcDNAマイクロアレイ実験で得られる蛍光シグナルデータは、クロスハイブリダイゼーションによる蛍光シグナルデータが含まれていると考えられているため、「マイクロアレイデータが遺伝子発現状態を正しく反映しているか否か」をハイブリダイゼーションの原理に基づかない方法(RT-PCR法等)で確認する必要がある。
演者らは、イネカルス(ホルモン処理区と対照区)から抽出したRNAを供試し、マイクロアレイを用いて実験を行った後、アレイ上の独立クローンに特異的なプライマーセットと、real-time RT-PCR法を組み合わせることによって、アレイデータの検証を行った。アレイ実験の結果に基づいて、遺伝子発現変動が認められたクローンをリストアップし、それらの特異的プライマーセットを用いたところ、約9割のプライマーセットではreal-time RT-PCRによる増幅が認められた。従って、発現変動を示したクローンの約1割については、アレイ実験の結果がクロスハイブリダイゼーションに起因すると思われる。更に、RT-PCRによる増幅が認められたこれらのプライマーセットのうち、約6割のプライマーセットにおいて、発現変動の方向(ホルモン処理区において発現上昇あるいは下降)がアレイデータと一致していた。
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© 2003 日本植物生理学会
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