日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
会議情報

アサガオ(Pharbitis nil)におけるアポプラスト液の組成分析
*三浦 梨江子山崎 雄平野崎 悟史中川 直樹桜井 直樹
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 602

詳細
抄録
 維管束を通る物質の種類や濃度の日変化の知見は限られている。本研究では水ポテンシャルの測定に用いられていたプレッシャーチェンバーでアポプラスト(AP)液を効率的に短時間で加圧採取する方法を開発した。材料に播種後7~8日目のアサガオ(Pharbitis nil cv. Violet)を用いた。16h L、8h Dの光条件で育てた芽生えから4時間おきにAP液を0、1 MPaで採取し、糖・タンパク質濃度および糖組成の変化をHPLC-PAD、GCなどで調べた。1 MPaのAP液の液量は明期に減少し、暗期に増加した。糖・タンパク質量は日周運動を示した。1 MPaのAP液の糖濃度は暗期(約1.5mg/ml)から明期(約4.5mg/ml)へ3倍上昇した。タンパク質濃度は暗期(0.3mg/ml)から明期(0.75mg/ml)に2.5倍上昇した。HPLC-PAD分析の結果、明期ではGlc、Suc、Fruの比が80:11:9だったが、暗期には45:33:22になった。AP液を加水分解し、GC分析をすると、Glc、Rhaがそれぞれ64、33%を占めていた。他にXyl、Ara、Man、Galが少量含まれていた。0 MPaのAP液に大きな濃度変化はなかった。シンプラスト(SP)液の糖濃度は15~40 mg/mlの幅で、タンパク質濃度は2~3.5 mg/mlの幅で明確な周期はなかった。SP液のGC分析ではGlcが95%を占めていた。
著者関連情報
© 2003 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top