日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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プレッシャーチェンバーを用いたアポプラスト液の新しい採取法
*野崎 悟史山崎 雄平三浦 梨江子中川 直樹桜井 直樹
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p. 601

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抄録
 植物のアポプラスト(AP)液に含まれる物質は細胞の成長・分化に決定的な影響を持つと考えられる。維管束を通る物質の分析に関しては、茎を切断しEDTA溶液に浸け、滲出する方法が知られている。しかしこの方法ではAP液を効率よく短時間で採取することが難しい。本研究では元々水ポテンシャルの測定に用いられていたプレッシャーチェンバーでAP液を加圧採取する方法を開発した。播種後7~10日目のアサガオ(Pharbitis nil cv. Violet)の芽生えから採取したAP液にシンプラスト(SP)液がどれくらい混入するのか調べた。同一個体を0、0.5、1.0、1.5 MPaで加圧しAP液を採取した。残った個体を液体窒素で凍結融解し、遠心してSP液を得た。両液の糖組成はHPLC-PADで分析し、一部はSDS-PAGEにかけタンパク質の泳動パターンの比較をした。AP液の体積はSP液の約5%であった。AP液の主な糖組成はGlc、Suc、Fruで、それぞれ約68、25、7%であったが、SP液では約50、20、30%であった。またSDS-PAGEの泳動パターンを比較すると、SP液の分子量約120 kDaのバンドはAP液になく、AP液の約20 kDaのバンドはSP液になかった。以上の結果、AP液にSP液の混入は少ないと考えられる。
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© 2003 日本植物生理学会
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