日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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緑藻Eudorina elegansにおけるプラストシアニンの銅による発現調節
*中村 美紀子稲生 朝子中村 真樹高柳 進之輔吉崎 文則
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p. 619

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抄録
 光合成電子伝達系のシトクロムfとP700の間では,プラストシアニン(PC)とシトクロムc6(Cyt.c6)のどちらかが電子伝達体として働いている.高等植物などにはPCが存在し,紅藻や褐藻などにはCyt.c6が存在する.一方,緑藻やシアノバクテリアでは銅を含む条件で培養するとPCをつくり,銅を含まない条件ではCyt.c6をつくる種が知られており,その切り替わりの仕組みに興味が持たれる.
 今回,緑藻Eudorina elegans Ehrenberg var. elegans NIES-456におけるPC遺伝子の構造と発現について調べた結果を報告する.(1)PCとCyt.c6が培地中の銅濃度に依存して切り替わることをSDS-PAGEとウェスタンブロット法で確認した.(2)他の緑藻のPC遺伝子の塩基配列をもとに作製したプライマーを用いたPCRと3' RACEによりPC遺伝子の部分塩基配列を決定した.Eudorina PCの推定アミノ酸配列は,緑藻Chlamydomonas reinhardtiiのPC配列と最も高い相同性を示した.(3)銅添加および無添加のVT培地で培養した細胞から全RNAを抽出し,PCR産物をプローブとしてノーザンブロット分析を行ったところ,銅無添加条件では銅添加条件に比べてmRNA量は大きく減少していた.また,銅無添加条件ではmRNAバンドが低分子量側に広がっていることから,mRNAの分解によりPC量が調節されている可能性が示唆された.
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© 2003 日本植物生理学会
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