日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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シロイヌナズナHMG-CoAレダクターゼ遺伝子破壊株の解析
*上出 由希子鈴木 優志永田 典子加藤 尚志佐藤 修正加藤 友彦田畑 哲之吉田 茂男村中 俊哉
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p. 644

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抄録
イソプレノイド合成に関わる酢酸-メバロン酸経路(MVA経路)の鍵酵素3-hydroxy-3-methylglutaryl-CoA reductase (HMG-CoAレダクターゼ)は、動物では単一遺伝子であるのに対して、高等植物ではマルチジーンファミリーを構成し(シロイヌナズナ;2種、ジャガイモ;3種、トマト;4種など)、異なる遺伝子発現、翻訳後制御を受けている。さらに、高等植物では、イソプレノイド合成が細胞質のMVA経路に加え、プラスチドに非酢酸メバロン酸経路(MEP経路)があることがわかってきた。
私たちは、このような高等植物における特徴的なイソプレノイド合成系を理解する目的で、シロイヌナズナにおける二種のHMG-CoAレダクターゼ遺伝子(HMG1 , HMG2)のそれぞれのT-DNA挿入変異体 (hmg1-1, hmg1-2, hmg2-1)を取得し、解析を行った。その結果、hmg2-1の表現型は野生型と変わらなかった。一方、hmg1-1, hmg1-2は、ともに、1) 発芽初期における根の伸長抑制、本葉展開の遅滞、2) 著しい矮化、不稔、3) ロゼット葉、茎生葉、花茎の早期の老化といった表現型を示した。老化関連遺伝子の発現について検討したところ、幼植物を暗処理することによって、hmg1-1, hmg1-2のみで発現が誘導されることを見出した。現在、HMG1の遺伝子発現と老化との関係について、詳細に検討を行っている。
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© 2003 日本植物生理学会
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