日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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HMG-CoA Reductaseの翻訳後修飾に関わるキナーゼ遺伝子の解析
*鈴木 優志上出 由希子永田 典子關 光吉田 茂男村中 俊哉
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p. 645

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抄録
高等植物のイソプレノイド化合物生合成経路にはメバロン酸経路と非メバロン酸経路の二つがある。ブラシノライドをはじめとするステロール類は細胞質のメバロン酸経路で合成される。メバロン酸経路における鍵酵素は3-hydroxy-3-methylglutaryl CoA reductase (HMGR)であり、本酵素は転写レベルおよび翻訳後レベルで制御されている。動物ではAMP-activated protein kinase (AMPK)がHMGRを不活性化し、脂質代謝を制御していることが知られている。しかし、植物ではin vivoでAMPK相同キナーゼのどの分子種がHMGRの活性制御に関与しているのかどうかは明らかではない。そこで我々はシロイヌナズナにおけるラットAMPK相同遺伝子であるAkin10, Akin11, Akin12の解析を通してHMGRの活性制御機構の解明を目指した。HMGR のC末端近くの合成ペプチドを基質に用いたリン酸化アッセイを行うと、Akin10, Akin11はこれをリン酸化したが、Akin12はリン酸化できなかった。またAkin10, Akin11, Akin12の器官別の発現を調べたところ、Akin10, Akin11は植物体全体で、Akin12は未熟鞘で発現していた。一方、HMG1は植物体全体で、HMG2は細胞増殖活性の高い領域で発現していることが知られている。これらの結果からAkin10, Akin11のどちらか、または両方がHMGRキナーゼとして機能しうることが示唆された。現在これらの遺伝子の挿入変異体の探索と解析を進めている。
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© 2003 日本植物生理学会
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