日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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高等植物においてニコチン酸生合成を担う遺伝子の解明
*加藤 彰稲井 康二中村 博之橋本 隆
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p. 675

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抄録
ニコチン・アルカロイドの部分分子骨格はニコチン酸に由来し、一次代謝産物であるNADもニコチン酸から誘導される。しかし、高等植物ではその経路や出発物質について明確には判っていなかった。
我々は、ニコチン・アルカロイド生合成系に関わる遺伝子群の発現量が低下しているタバコ変異株とその野生株のmRNA発現をFDD法により解析した。その結果、変異株で発現量が低下している新たな遺伝子として、細菌類のニコチン酸生合成系に含まれるキノリン合成酵素(QS)のホモログを見出した。理研アラビドプシス完全長cDNAライブラリー内に、QSとニコチン酸生合成系に含まれる別の酵素、アスパラギン酸酸化酵素(AO)のホモログを見出し、それぞれの大腸菌欠損株でアラビドプシス由来のQSとAOホモログを発現させ、それらが大腸菌酵素の機能を補完する事を確認した。高等植物においてニコチン酸は、動物やカビ類の様にL-Trpから誘導される系ではなく、細菌類と同じくQSやAOによって触媒される系によってL-Aspから生合成されることを、これらの結果は強く示している。
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© 2003 日本植物生理学会
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