日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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プリンアルカロイド生合成植物からのTCS相同遺伝子の単離と機能解析
*米山 奈保水野 幸一友田 善久芦原 坦加藤 美砂子
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p. 680

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抄録
 カフェインの生合成経路には3段階のメチル化反応が含まれる。キサンチン骨格のN-7位、N-3位の2回のメチル化の後テオブロミンが、さらにN-1位がメチル化されカフェインが合成される。チャ(Camellia sinensis)から我々が単離したカフェインシンターゼ(TCS1)は、最後の2段階、つまりN-3位とN-1位のメチル化を触媒するN-メチルトランスフェラーゼである。
 本研究では、広範な植物でのカフェインシンターゼの機能を比較するために、主としてテオブロミンを蓄積するカカオ(Theobroma cacao)からTCS相同遺伝子を単離し、その機能解析を行った。チャとコーヒーのカフェインシンターゼ(CS)やテオブロミンシンターゼ(TS)に保存されているS-アデノシルメチオニンの結合領域をもとに作成したプライマーを用いて、RACE法によりカカオの葉からTCS相同遺伝子BTS1を単離した。BTS1がコードするタンパク質の推定分子量は41kDaであり、今までに単離されているCSやTSとほぼ同じ値であった。TCS1およびコーヒーのCTS1とBTS1のアミノ酸配列の相同性はそれぞれ55%、35%であった。予想される基質を用いて大腸菌で発現させたBTS1のN-メチルトランスフェラーゼ活性を測定した結果、7-メチルキサンチンに対する活性が認められ、このタンパク質がテオブロミンシンターゼであることが示された。
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© 2003 日本植物生理学会
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