日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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タバコ種間F1雑種の細胞死発現過程での液胞崩壊
*三野 真布村田 奈智上田 純子三坂 裕子井上 雅好
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p. 732

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抄録
Nicotiana gossei Domin X N. tabacum L.の雑種致死発現は、発芽後3~4日目の下胚軸基部より始まり、10日目には子葉にまで拡大する。下胚軸基部での細胞死発現の時期を更に詳細に調査したところ、細胞質の部分的崩壊などの細胞形態の異常が発芽直後から開始していた。時間経過とともに下胚軸組織は表皮細胞、皮層細胞の変形が進むことから、細胞内容物の消失が急速に進行するものと考えられた。そこで、細胞死進行過程における細胞内の変化を更に詳細に検討するため、下胚軸由来の培養細胞(GTH4)を用いた。蛍光顕微鏡により、葉緑体、ミトコンドリアが致死条件(26℃)では数時間で消失し始め、細胞内pHの低下した細胞数が増加することが観察された。GTH4細胞は37℃において高い生存率を維持するが、その内部形態は原形質糸により分けられた液胞を内包する複雑な構造を示す。致死条件においた直後、このタイプの細胞の頻度は高いが、やがて複雑な構造ではなく一様な密度の内部構造を示す細胞の頻度が高くなり、最後にはプロトプラストが萎縮して細胞壁より乖離した細胞が最も多くなった。これらの結果は、細胞死の最終的な実行が液胞の崩壊によって起こることを示している。
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© 2003 日本植物生理学会
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