日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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活性アルデヒドを消去する新規酵素アルケナール α,β-ヒドロゲナーゼによる酸化的ストレス耐性
*真野 純一鳥居 義光滝本 晃一Dirk Inze浅田 浩二
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p. 8

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抄録
酸化的ストレスにより発現誘導されるシロイヌナズナの新規酵素NADPH:2-alkenal α,β-hydrogenase (ALH) は,過酸化脂質から生ずる4-ヒドロキシノネナール(HNE)などの α,β-不飽和アルデヒドを還元し消去する。ALHの抗酸化機能を検証するために,ALH遺伝子をタバコに導入し,ALH過剰発現ホモ接合体3株を得た。HNEをタバコ葉に与えるとPSII活性が低下し,2日で組織が壊死した。ALH過剰発現株はいずれもHNEによる傷害が軽微であり,ALH が in vivo でHNE を消去・解毒することを示した。メチルビオローゲン(MV)による光酸素ストレスにもALH過剰発現株は耐性を示し,3つの過剰発現株のHNE耐性とMV耐性の強さは良い相関性を示した。過剰発現株のSOD,APXなどの活性酸素消去酵素の活性は野生株と同程度であり,過剰発現株のMV耐性はALHによるHNE解毒消去の効果と考えられた。すなわち,不飽和アルデヒドは光酸素ストレス傷害因子のひとつであり,ALHによる解毒作用はストレス耐性に寄与する。
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© 2003 日本植物生理学会
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