日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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イネの短日性を決定する遺伝子ネットワーク
*島本 功石川 亮阿部 誠玉置 祥二郎早間 良輔井澤 毅横井 修司
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p. S40

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抄録
日長による開花の制御の分子生物学的研究は、主に長日植物のシロイヌナズナを用いて行われている。シロイヌナズナにおいては、開花時期に変異を持つ突然変異とその原因遺伝子の単離により、概日時計と、その下流で機能する開花誘導に関与する遺伝子群が開花制御の中心的な役割を担っていることが最近明らかになってきている。しかし、概日時計の実体や、概日時計による花成に関与する遺伝子の発現制御、あるいは光による影響については、まだあまり分かっていない。一方、短日植物においては、長年の生理学的な研究の蓄積は多いが、日長による開花制御に関する分子生物学的知見はまだ少ない。
我々のグループは最近、イネのGI相同遺伝子をディファレンシャルディスプレイ法により単離した。さらに、このGI相同遺伝子をイネで過剰発現させたところ、短日および長日いずれの条件下でも開花が遅くなることを見いだした。さらに、これらの植物体ではイネFT相同遺伝子の発現が強く抑制されており、一方CO相同遺伝子の発現は上昇していた。このことから、短日植物イネにおいては、GIおよびCO遺伝子の発現制御は長日植物シロイヌナズナと同じであるが、COによるFTの制御がシロイヌナズナとは逆に働いており、長日条件下でFTの発現を抑制することが示された。本シンポジウムではこうした結果に基づいた考察を行う予定である。
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© 2003 日本植物生理学会
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