日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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トランスポゾン抑制におけるCGと非CGメチル化の役割
*加藤 政臣三浦 明日香角谷 徹仁
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p. S51

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抄録
DNAメチル化は遺伝子発現の制御を通じてゲノムの安定性や発生のコントロールに重要な役割を果たしている。
シロイヌナズナではDNAメチル化に影響を及ぼす、生存可能な突然変異体を利用できることから、トランスポゾン制御におけるDNAメチル化の役割を直接調べることができる。
MET1はCG配列のシトシンメチル化の維持に必要である。シロイヌナズナではCGに加え、非CG配列のメチル化が観察される。これにはCMT3(CHROMOMETHYLASE 3)が関わる。第3の遺伝子であるDDM1(DECREASE IN DNA METHYLATION 1)はDNAメチル化に必要であり、その変異はCGと非CG の両方のメチル化を低下させる。またこれに伴って幾つかの発生異常が観察される。それらの一つを連鎖解析することにより、私達はシロイヌナズナの内在性トランスポゾンCACTAを見い出した。このトランスポゾンはddm1突然変異によるDNA低メチル化のバックグラウンドで特異的に高頻度で転移を起こす。DDM1遺伝子はDNAメチル化酵素ではなく、クロマチンリモデリング因子をコードしていることから、クロマチンリモデリングを通じてこのトランスポゾンの活性を抑制していると考えられる。
本研究では、DNA低メチル化がトランスポゾンの活性化に十分であるか調べるために、2つのDNAメチル化酵素遺伝子MET1CMT3の突然変異体においてCACTAトランスポゾンの挙動を調べた。
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© 2003 日本植物生理学会
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